訴      状

平成14年11月22日

名 古 屋 地 方 裁 判 所  御 中

〒475−0833  愛知県半田市花園町4丁目12番地の7
 <送達場所>      原  告   吉 田   勇  
            TEL(FAX):0569−22−3676
〒475−0965  愛知県半田市新生町6丁目27番地の1
             原  告   松 村   薫
〒475−8666  愛知県半田市東洋町2丁目1番地
             被  告   半田市 市長 榊 原 伊 三

住民訴訟事件
   訴訟物の価額    金950,000円也 (算定不能)
   貼用印紙額     金  8,200円也

請 求 の 趣 旨
1 被告は訴外榊原伊三に対し、金2450万円の損害賠償の請求をせよ。
2 被告は訴外佐藤利二、訴外山田兼雄、訴外清沢吉徳、訴外柴田克美に対し、地方自治法第243条の2第3項の規定による賠償の命令をせよ。
3 被告は訴外榊原健嗣に対し、金300万円の不当利得分返還の請求をせよ。
4 被告は訴外半田国際交流協会に対して、年間300万を超える補助金を交付してはならない。
5 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決を求める。

請 求 の 原 因
1 当事者
(1) 原告ら2名は、半田市の住民である。
(2) 被告半田市は、知多半島の中心都市で人口11万人を擁する市である。

2 請求の趣旨1.2に対する違法性について
 半田国際交流協会(以下「協会」という)に対し、半田市は毎年1000万円以上の補助金を一般会計から交付している。しかし、13年度と14年度は市の財政状況が厳しいことを理由として、半田市国際交流基金を取り崩し(14年度は取り崩しを前提に)これを原資として「協会」に補助金(13年度は活動費補助金の名目で1100万円を、14年度は同じく活動費補助金の名目で1100万円、この中に250万円を「はんだ山車まつり姉妹都市招待事業」の委託料として計1350万円)を交付した。
 地方自治法第241条第8項によれば、基金の管理及び処分に関し必要な事項は条例でこれを定めなければならない旨規定している。しかし、半田市国際交流基金条例には何ら処分に関し必要な事項は定められていないのである。
 そこで、前記基金の処分行為の可否を検証してみることにした。法第241条第1項は、条例で定めるところにより基金を設けることができるとして、条例制定が基金設置の効力発生要件になっていることが判る。第2項は特定の目的に応じ、確実かつ効率的に運用すべきことを要求している。第3項は当該目的のためでなければ処分できないとして、処分目的を制限あるいは限定していることが判る。第8項は、基金の管理及び処分に関し必要な事項は条例でこれを定めなければならないとして、条例に委任していることが判る。
 従って,基金を処分するには条例にその事項の定めを明記するのが必須であり、その定めを欠いた半田市国際交流基金条例は勿論のこと、第3項も処分可能規定でないことは法文上明らかであり、いずれの場合にも本件基金を処分可能とする法的根拠にはなり得ないのである。第3項は一見処分可能規定の様にも読み取れるが、そうではないことは次に述べる理由により明らかにする。
 法第8項の規定に従って処分に関する定めをしたとしても、それが如何なる目的でも処分できる旨定めるとすると、基金設置の意味を没却しかねないことから、法第3項によってその処分目的を制限或いは限定したものであると解釈するべきである。従って、処分可能の規定を欠いた本件基金の処分行為は、法第8項に違反する違法なものである。
 半田市国際交流基金(以下「基金」という)の所管課は秘書広報課であり、平成13年度分の取り崩しは訴外山田兼雄が決裁し、平成14年度分の取り崩し予算の計上は訴外清沢吉徳が行った。訴外財政課長の柴田克美は「基金」の取り崩し処分を会計課に指示したものである。訴外榊原伊三は半田市長として「基金」の管理者及び補助金交付の執行責任者であり、訴外佐藤利二は収入役として「基金」の違法な取り崩しを防止する立場にありながら指揮監督行為を怠り、上記の者がそれぞれ半田市国際交流基金条例の処分に関し必要な事項を定めずとも処分可能との安易な判断からこれらの行為に及んだもので、その重過失によって半田市が被った損害額2450万円の賠償義務を免れないのである。

3 請求の趣旨3に対する違法性について
 平成14年4月1日に施行された「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」(以下「派遣法」という)によれば、その第2条に派遣できる団体が揚げられている。それらの団体には条例で定めることによって職員が派遣できる事になっている。しかし「協会」は条例で定めることのできない法人格のない任意団体であるため、派遣できる団体には該当しない。
 従って、「派遣法」を受けて制定された「公益法人等への職員の派遣に関する条例」(以下「派遣条例」という)にも「協会」は当然ながら挙げられていない。
 訴外榊原健嗣は、平成13年4月1日辞令で「企画部秘書広報課主幹を命ずる」とされ現在迄その地位にある。上記辞令交付に伴い、同日頃「協会派遣勤務を命ずる」とされ「協会」の勤務に就いた。「協会」派遣勤務と同時に「協会」の会長たる訴外中埜修から「協会」の事務局長を任命され現在に至る。14年度からは「派遣法」の施行及び「派遣条例」の制定に伴い市の職歴を管理する都合から台帳上「協会派遣を免ずる」とされている。にもかかわらず、14年度に入っても訴外榊原健嗣は何ら勤務状態を改めることなく漫然と「協会」の職務を専ら従事していたのである。14年度からは本庁舎秘書広報課にも机を置き、双方を拠点として事務処理にあたっているとしているが、「派遣法」抵触を逃れるために仮装したものであり、本庁舎の方では勤務に就いた事実はなく「協会」に専ら従事したままというのが実態である。
 よって、榊原健嗣は「派遣法」2条に違反する違法な勤務の対価として支払われた平成14年4月から8月までの給与の全額を返還する義務を負うものである。

4 請求の趣旨4に対する違法性について
 「協会」の毎年度の収入額は1300万円程で、そのうち1100万円程が市から交付されている補助金であり、150万円程が会員らが納める会費である。「協会」には正職員1名と臨時職員1名の計2名が勤務している。正職員には470万円程、臨時職員には150万円程が年間の人件費として充てられている。総額1300万円程の収入のうち人件費が実に700万円程も占めているのである。臨時職員の人件費についてはそれ程の違法性は見い出せないが、正職員の人件費については市の職員の給与に準じて計算されており、その違法性は著しく高いと言わなければならない。
 「協会」の業務と事業内容は毎年ほぼ同じで微量なものであり、「協会」に相談等に訪れる者も皆無に等しく、職員らの仕事量も極めて少なく暇を持て余している状況である。にもかかわらず、このような微量な仕事量しかない「協会」に職員が2名もいると言うのはいったいどう言う事なのか。この他に事務局長1名と秘書広報課の職員1名も「協会」の職に従事しているのである。その上,正職員は市の職員並みの給与支給を受けており、市民感情としては好き勝手なことをしていても高い給与を貰っているとしか思えない異常事態なのである。
 正職員は当初臨時職員として採用されていたが、事務局が商工会議所から雁宿ホ−ルに移設されたのを機に平成7年4月1日をもって正職員に登用されたのである。この頃から市の担当者らによって急激な速さで給与額が上昇した。勿論、勤務時間、休日等の取扱いも市の規定に準じて実施され、全ての面で市の職員並みの待遇を受けているのである。
 中国人である正職員は友好都市である中国徐州市との関係にあっては確かに中国語が話せるという点ではそれなりに意味のあるところではあるが、他の姉妹友好都市、オ−ストラリアのポ−トマッコ−リ−、アメリカのミットランドについては英会話のできる臨時職員が対応しており、臨時職員、正職員の業務内容に全く差は無いのである。にもかかわらず3倍以上の人件費の差を誰が理解できよう。
 20年以上に亘り半田市長を勤めていた、元市長竹内弘が身元保証人となって協会に採用されたという経緯から考えると、元市長は半田市の有力者として今もその名を残しており、半田市に対してもその影響力はいまだ大きいのである。これらの影の力が裏で働いており、市の職員に準じた特別な取り扱いが成されていると考えるのが相当である。
 「協会」独自の収入が年150万円程しかないのに、職員2名に対し700万円程の人件費が支払われているこの現実は、まさにこれらに充てるために補助金交付が行われているといっても過言ではなく、臨時職員の人件費を超える正職員の人件費の額については、地方自治法第232条の2の公益上必要がある場合補助できる範囲を著しく超えているのは明白であり、違法な支出である。
 給与等は労働の対価として支払われるもので、その労働の効果実体に合ったものでなければならない事は常識中の常識である。「協会」は公益性を有すという名目で活動している様であるが、原告である我々市民には何一つその活動の効果は伝わってこないばかりか存在感さえ見えないのである。「協会」の会員は多くの市の職員らが名を連ねているが、その会員である職員でさえもこれまでの「協会」など必要あるのかと一様に口を揃えている。現に会員数が除々に減少していることがそれを物語っている。
以上により「協会」正職員に充てられている人件費、150万円を超える金額については合理的な理由もなく不正に支払われていることは明らかであるから、今後も支払われるであろう正職員の人件費に充てられている額のうち150万円を超える補助金の一部の差し止めを被告に求めるものである。

5 住民監査請求の前置
(1) 本訴提起に先ち、原告らは平成14年9月3日地方自治法第242条1項の規定に基づき半田市監査委員に対し必要な措置を講ずべきことを請求した。
   上記請求は、平成14年9月4日受理された。
(2)平成14年10月25日原告らは、同監査請求の結果の通知を受けた。

6 結論
 よって、原告らは、地方自治法第242条の2第1項1号及び、同条第1項4号に基づき請求の趣旨記載のとおり、被告が当該職員及びその相手方に対し損害賠償請求命令及び不当利得返還命令をすることを求める。


証 拠 方 法
甲第1号証    半田市職員措置請求書の監査結果

付 属 書 類
甲号証の写し     各1通
   










事件番号 平成14年(行ウ)第63号損害賠償等請求事件
原 告  吉 田  勇 外1名
被 告  半田市長 榊原 伊三
                         平成15年1月31日
訴 状 訂 正 の 申 立 書

名古屋地方裁判所民事第9部 御中
                (住所)〒475−0833
                      半田市花園町4−12-7
                      原 告   吉田  勇
                                   (住所)〒475−0965
                      半田市新生町6−27−1
                    TEL・FAX  0569-27-7399
                      原 告   松村  薫
                  (送達場所)   同 上

訴状請求の趣旨2項につき、下記のとおり訂正いたします。

  2  地方自治法第243条の2第3項の規定により、被告は訴外佐藤利二と訴外柴田克美に対し連帯して2450万円を、そのうち、訴外山田兼雄に対し1100万円、訴外清沢吉徳に対し 1350万円の賠償命令をせよ。
  

戻る

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理